リリ「は、鋼…。これ…。」
柏木「わしは今運転だけで精一杯だ。楽兎に見せてやれ。」
楽兎「なになに、…あァ!?あの馬鹿二人捕まりやがったぞ!!」
壬空「誰から?」
楽兎「タナトス…」
柏木「!!」
ギギ、ギギィ!!
突然車を止める柏木。
楽兎とリリが反動で激しく前頭部を打つ。
柏木「壬空。タナトスとは、ブラストのあの奴か。」
壬空「…携帯見せて」
リリが頭をクラクラさせながらも壬空にメールを見せる。
壬空「10番街にワープ!リリ、早く!!」
リリ「で、でも…、電話しろって書いてあるよ?」
壬空「特殊ウイルスを使った罠に決まっている!!そんな事より早くあたし達を10番街に送るんだ、リリ!!」

ブラッドストリーム本拠地―
プシュ
不知火「ぐっ…」
ズチュ
不知火「…ああッ!!」
プシュ
不知火「や、ああ!!」
クロ「ふむ、なかなか色っぽい声を出すじゃないか?」
タナトス「ケケケ、こいつ、女なんじゃない?ぜってえ付いてねえよ。蹴ってみようかあ?」
クロ「左様で。…どうぞ。」
両腕を鎖で繋がれた不知火の股間を、鉄板入りの靴で蹴る。
バキッ!!
不知火「ぐ、ぐあああああああああああああ!!」
タナトス「男?勿体ねぇなあ不知火戒。そんな可愛い面して男?改造してやってもいいぞ?ほら、何とか言えや?」
不知火「…さ…ツッ…!貞弘はどうした…。」
タナトス「ああ、四死駒の俺様が直々に拷問してやったよ。指を変形させてな、こう。」
と、言うと、タナトスの指はおぞましい形に変化した。
背筋が凍る不知火。この時、何かを予感した。
不知火「さ、貞弘ーーーーッ!!無事か!!無事か―」
タナトスの指が少しづつ不知火の体内に入ってゆく。
不知火「ああああああああああああ―」
クロ「同性愛というやつですかね?全く、気色の悪い…。」
(リン…)
タナトスが膨大な『武力』に気付く。
タナトス「不知火よお、『俺は』これ位で勘弁してやるよ。最後に教えてやろうか?ウン?」
不知火「…なに…」
タナトス「貴様等『ア・レイド』は、俺達の目に止まっている。こういう立場になってもしょうがないんだぜ。…あばよ。」
シュン…
不知火「(消えた…だと!?)伊達眼鏡。…貴様に…聞きたい事があるッ」
クロ「何だね?」
不知火「ア・レイドとは何だ―」
ドオオオオッ!!
白き炎が瞬時に広がり、一人の男が現れる。見方なのか、敵なのかは不知火にはわからなかった。
不知火「なッ…!!」
クロ「キ、キース様ッ!!」
キース「よう。…何してんだい?随分『処理係』がレディーを痛め付けているようだが、俺はこんな女は知らん。」
クロ「キース様ッ!こ、こいつはアレイドの肩われでして!!」
キース「ふん。で、なんだ、拷問か。レディーをこんな目に?」
クロ「ち、違いますです!タナトス様が―」
突然空中に浮くキース。
キース「黙れ処理係」
バキッ
クロ「ゲハッ…!!」
不知火「(な、何だこの男は…!空中に飛び、いや、浮き―、軌道を変えた!?そんな馬鹿な…!)」
キース「レディー。お前の仲間はな、俺達の仲間の命を奪ったんだぜ。」
不知火「そ、そんな事は私は知らない!!そんな事より、くる、燃え移る!!白い炎が!!」
キース「無事だ。『白い方は』あまり熱くない。…どうやら捕まったのは二人だけのようだな。どちらも、真実を知らない純粋な目だ。」
不知火「…ッ。」
安堵で気を失う不知火。
キース「さて、と。レディーともう片方は解放してやるか。コイツ等を痛ぶっても、何も得る物は無い。『ナインルーズ』、奴ももう還ってこない。タナトスには悪いが、な。」

―ブラッドストリーム本拠地・入口―
神々しい光が辺りを包む。
楽兎「ここか。随分と暗い場所だぜ、明かりはねぇのか?」
タナトス「イグジステンストルネード!!」
バキギギ!!
瞬間的にその場に現れ、旋風脚を繰り出す!!
楽兎達は真に喰らい、動けなくなる。それ程タナトスの武力と体術は優れていた。
だが―
壬空「ここに現れるという事、読んでいたのね。」
タナトス「ケケ、偶然だ。まさか転移の術を以っていたとは思わなかったが…、裏目に出たな?両国壬空よォ!!てめぇ、あのナインルーズを殺した『木道蘭花』の仲間だろうがよ。ケッ、ケケ。相棒をよくも殺ってくれたなァ?」
壬空「恨みを持っているのはそちらさんだけじゃないさ。あんたらは、蘭花を殺したじゃないか。」
タナトス「ぐちぐちと抜かしながら、貴様も読んでいたんだろう?俺様が奇襲する事を読み、後ろに飛んだ!仲間は見捨ててなァ!なあ!?」
空中に飛びながら、顔を後ろに傾け上わ目使いで壬空は挑発する。
壬空「何一人で必死になってんの?」
タナトス「てめェェーーッ!!」
ギャリリリリリリ―
タナトスの目の前を禍々しく飛び回るリング。
タナトス「これは…、クク、覚えてるぞ。デビルチャクラム。柏木か。」
柏木「幾ら貴様とて、2対1では勝てまい。シャクだがな。」
タナトス「はは。降参だ。」
そう言い、両手を上げるタナトス。
柏木「フン!雑魚が―」
壬空「馬鹿!罠だ―」
ドゥン
ドドゴ…!!
柏木「グボ…ががががが」
タナトスの両腕が体から発射され、柏木の体をえぐる。
タナトス「雑魚はどっちだ。でかいだけの脳無しめ。‥ああ、そうだ。そのロケットパンチは所謂『武力』でな、一度敵を殴ったら貫通するまで離れないような性質にしてある。…腹部と胸。貴様は死ぬよ。ざまあみろ」
壬空「この…ッ!!ドラゴニックオーラ!!」
ズガガガガガガガ
ドゴォ…ン!!
壁に叩き付けられるタナトス。
タナトス「…クククク!!貴様も奇襲好きだね、壬空。さあ、喰い潰すがいい。俺様はちょっとやそっと喰われた位では死ねんがな!!ハハハハハハッ!」
バグチュ
タナトス「また、殺し合おう―」
胴体を喰われるタナトス。
壬空「柏木!!」
柏木「壬空ァ!!」
柏木の元気を偽った声に、驚く壬空。
壬空「何よ!大丈夫なら―」
柏木「わしの遺骨は…!!日と海が見える丘に埋めてくれると約束するか!!」
壬空「ま、まさか」
そう、彼の体に込めた武力は限界を超えていた―
ドシュ…
柏木の体を貫通するタナトスの二つの腕―
壬空「そん…な…!!そんな無理を託さないでよ!そんな無理言って死なないでよ!!馬鹿!馬鹿!!」

―第5番街―
ルンド「…くぁ…大分寝たな…。」
ビナーレの眠る部屋に入るルンド。
ルンド「あちゃ、こいつまだ寝てやがる…。無理させ過ぎたな…。」
ラータが眠る部屋へ入るルンド。
そこでルンドが目にしたものは―。
ルンド「―逃げられちまったぜ、おいおい。」
置き手紙を見つけるルンド。
カサッ
ルンド「…はは、まあ、幸せに暮らせよ。」
その手紙に書いてあった言葉は、感謝と一喝であった。
ルンド「ふん…おい!起きろビナーレ!!」
ビナーレ「…な、なんスかー?」
ルンド「第7番街に戻るぜ。『紅闘士団』と合流しなければならねえ。」
ビナーレ「もう…?いや、やっと行くんだね。このドームの中心地、あの『月の塔』に。」

―半日後―
氷女人「酷い有様ですね…、これは。」
タナトス「あア!?何見て言ってやがる!!」
氷女人「私が13番街の北極の地に向かっていた内に、一体何が?」
タナトス「来たのさ。ア・レイドがな!」
氷女人「それで、みすみす逃がしたと。それでそんな上半身のみにされた貴方は何をぬくぬくと食事を?」
タナトス「上半身のみっていうのも楽だぜ、体重が半分になるんだからな!!ケケケ!!」
氷女人「上半身のみで人並み以上の生活ができるのは貴方位のものです。…で―、スーパーウェポンは?」
タナトス「あ…。悪ぃ。そいつの事すっかり忘れてたわ。」
氷女人「全く…。それで、貴方なりの成果は得られたのですか?」
タナトス「柏木殺した。」
氷女人「それで…?」
タナトス「後はキースが全員逃がしちまったよ。レディーがなんとか、ってな。」
氷女人「役立たずですね…彼も。まあいいでしょう。次は必ずあちらから来ます。その理由はわかりますね?人間の貴方には。」
タナトス「ケッ、何とはなしにな。で、『バール』の貴様にはわからない訳だ!!全く、面白い素体だ。『ノキリアの影』が創ったブラッツの賜物はな!!」

END
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