6:30
―4番街―
リリ「御飯ですよ〜!!」
柏木「ほう、これはまたまずそうな肉じゃがだな。何ともコメントが付け難い。」
リリ「ああ、じゃあ鋼のは抜き。で、まだ帰ってこないの?不知火とサダは。」
楽兎「どーせまた自分等より強い首を狩りに行ったんだろ。」
(リリン…)
柏木「来るぞ!!」
楽兎「んだと!?」
柏木「…。誰か体に異変を感じる奴はいないか?今光速と言っていい程の速さでこのアジトの何かを『変えられた』。『鈴』が速テンポで2回鳴ったからだ。間違いない。」
リリ「体に?いや。」
楽兎「それより飯食おうぜ、うわっマズそうな飯だ」
リリ「とかなんとか言って食べるんでしょ?」
楽兎「たりめえ。」
柏木「…武の軌跡はくっきりと残っているな。『滅』は使えない性質か。」
楽兎「こんなモン正直麗那に食わしたくねえよ」
柏木が武の跡を辿って、金庫を開ける―。
柏木「楽兎!!」
楽兎「あ?」
柏木「すぐ仕度をせい。追うぞ。金を盗んだ人間を!!」
楽兎「…盗まれただと!?」
柏木「先に行ってるぞ!」
楽兎はよく状況を掴めないまま、金庫を見る。
楽兎「…盗まれてやがる!!武の軌跡とか言ってたな…、柏木…。」
リリ「こんな時には『見』だよ!!先行ってるね!!」
楽兎「チッ、どいつもこいつも馬鹿にしやがって!!」

同日6:59
―7番街―
ラータ「はぁ…、はぁ…。このお金でお母さんも助かるぞ…!!」
最南東に属する7番街。気温は尋常ではない。
ルンド「何やってんだい、嬢ちゃん?」
ビナーレ「やめなよ兄貴、こんな小汚いガキを相手にすんのは!!」
ラータ「!!その紅装束は…!『紅闘士団』…!?ハッ…、もう、疲れて『武』も使えないや…。」
パタン
ルンド「…、この盗んだ紅装束も便利やら不便なのやらわからんブツだな。」
ビナーレ「着るだけで武力が湧き出てくるんだもん♪損は無い無い!!」
ルンド「で、この倒れた女をどうするか、だな。結構やつれてるぞ。日光が存在しないとはいえ、この暑さだ。放っておいたら、死ぬ。」
ビナーレ「さてはて?優しいお兄さんはこの後どうするのでしょう?」
ルンド「とりあえず安全な5番街まで運んでやるか。」
少女を背負う盗賊兄弟の兄、ルンド。
ラータ「やめ…て。5番街は…、やめ…」
ルンド「なんでだよ?」
ラータ「あたし…、4番街からお金盗んで逃げてきたの…。だから…、戻るのだけ…は…。」
ルンド「お前、滅は使えないのか?」
白目を向き、今にも気絶しそうなラータ。
ラータ「使…え…ない。」
ルンド「…、どうする?ウェポンをここに捨てて―」
ラータ「ダメ」
ルンド「困ったねぇ。右周りできないとなると、ブラッドストリームやエンジェルダストが存在する左側に行く事になるんだよなあ…」
ビナーレ「8番街は駄目なの?」
ルンド「暑さはそんなに変わらん。」
ビナーレ「9番街は?」
ルンド「ブラッド本拠地のお隣りさんだ。危険だぜ。」
ビナーレ「となると、」
ルンド「と、まあ滅状態なら5番街でもばれやしねえ。俺の武力も合わせれば万事オーケーだ。その代わり、嬢ちゃんには滅状態になってもらう為気を失ってもらうがな。」
ビナーレ「わかってんのかねぇ?その子、『バール』だよ?」
ルンド「知ってらあ。だが、こいつに罪は無いんだ。『怨』が感じられないだろうが」
ラータ「…」
ルンド「嬢ちゃん。一眠りする前に一つ聞いていいか?」
一搾りの声を懸命に吐くラータ。
ラータ「はい」
ルンド「何日前に窃盗を行った?」
ラータ「…約、30分前…。」
バキ
ルンドがラータの首ねっこを強打し、気絶させる。
ビナーレ「やっぱり…、バールだよコイツ。人並み外れた身体能力と、人並み外 れた武力。R13トレインより速く動くなんて、人間にはできない。」
ルンド「こいつは何も罪は侵しちゃいねえ。それよりビナーレ。能力はまだ続くか?」
ビナーレ「インフィニティコマンダー?それとも、ビーストコマンダー」
ルンド「余裕そうだな。じゃあ、とびっきり移動速度の速いバールを召喚しろ。」
ビナーレ「無理っす。バールクラスとなると言う事を聞いてくれません!!」
ルンド「じゃあ動物でも魔獣でもいいから出しやがれよ。互拓はいいからよ。」
ビナーレ「ほいほい。…いでよ!!」
巨大な魔鳥が姿を現す―。
ルンド「…これは制御効くのか?」
ビナーレ「それ互拓っすよ」
ルンド「わーったよ。しっかり捕まってろよ、ラータ。」

同日10:40―
―5番街―
ルンド「さて…と。ビナーレ、気温能力消してもいいぞ。ただし滅状態は忘れんな」
ビナーレ「疲れたぁ〜。」
ルンド「ま、文句言うな。…ここら辺にゃ空き地は無ぇみてぇだな。空中に『建てる』か。」
少し笑うルンド。
ルンド「インシュレーションメイク」
ルンドが言葉を放ったその時、空中にハウスが出来る。
ビナーレ「今度は家作ったのね…、かなり、消耗したでしょ?」
ルンド「まあな、さて、早い所俺達もあそこに入るぜ。あのハウスは強制『滅』状態だから安心だ。」

インシュレーションハウスの中は、水、ガス、電気、家庭製品も殆ど揃っていた。
だが、それ同様に武力を消耗するルンド。
平然としていられる訳もなく、金髪の男ルンドはベッドに寝込む。
ビナーレ「だから絶縁服位にしとけばよかったのに、アホ兄。」
と、言いながらビナーレも寝込む。

同日23:30
―6番街―
車で突き走る柏木カーと、
ウェポン『ブーストバースト』で空を飛ぶ壬空。
柏木「くそっ…、列車無しで何処まで行きおった!?」
壬空「だけど、武の軌跡は濃く残ってるよ。でも、もしかしたら…、この軌跡の荒さは…」
楽兎「くそ、暑ぃ…。」
柏木「何だって言うんだ!!」
壬空「『バル』の可能性が高い。同時刻にアジトから出たんだ、こんなに差を付けられるのは『バル』以外の何者でもないよ。」
リリ「万一、そのバールと当たってお金を取り返せる可能性はあるの!?」
柏木「黙ってろォ!!」
壬空「もうちょっとは飛ばせないのかい?その車は。なんなら、柏木達がR13トレインで行動してあたしが軌跡を辿ろうか?」
楽兎「わかってんのか姉貴、次はあの灼熱地獄『7番街』だぞ?」
壬空「さあね、行った事も無いから何とも。今の気温でも今にも気絶しそうだし。」
リリ「もういいよ!!そこまでして追う必要無いじゃん!また一からやり直せばいいじゃん!」
楽兎「あと2週間で何カロ貯めれると思ってんだてめーは。」
リリ「そんなの…、そんなの…。」
楽兎「帰りたきゃ一人で帰れよ、へっ、水代わりにガソリンや尿飲む気力が無けりゃ生き残れないぜ。」
柏木「リリには最後まで居てもらわんと、万一の時に死んでしまうからのう、頼むぞ。」
リリ「そんな…ッ!!」
プルールルール♪
リリの携帯が鳴る。
リリ「なに?メール…?」

――――
この番号に電話をかけてもらおう。
不知火戒と
千里貞弘の身柄は預かった。
只今拷問中☆
090-****-****
組織ブラッドストリーム
『死四駒』タナトス
――――

END
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