惑星エアデール。
水に恵まれ、気温に恵まれ、『武』の気に恵まれた地。
大陸は西と東に別れ、主人公達の住む大陸は西の『アルトル』。急激に進んだ文明と自然の破滅により、黒き大気に覆いつつまれていた。
その黒き大気は光をも遮断してしまい、西の大地は電気街と化していた。
その黒い大気を『ブラッツ』と、西の人間は言う。
そして、そのブラッツの環境が生んだ生態兵器『バル』は、各地に散乱していた。

楽兎「…リリ。」
屋根裏を足音無しで進む『両国 楽兎』と『リリ』。
楽兎は金網の下の、黒い髪をし伊達眼鏡を掛けたスーツの男を見つめ、決意を固める。
楽兎の恋人は、重い病に侵されていた。その手術代を出すにはどうしても、指名手配の首を取るしかなかった。

クロ「ふむ。今日も『バール』狩りか。何故あの方は政府、あのサナトに手を貸すのか…。全く理解できませんなぁ。」

楽兎「如意刀!!」
この世界には、『武力』と言われる能力と、『ウェポン』と呼ばれる兵器が存在する。人々はそれで戦い、食う。
ウェポンの真価を発動するには武力が必要になる。
武力も色々な種類があり、様々な使い道があるのだ。
クロ「シルヴァー・エクセレント!!」
クロの『銀色の糸』が天井を切り裂く。
リリ「きゃ!!」
天井から落下するリリ。
ガシャアァン
クロ「ふむ、鼠が二人、いや、ニ匹。最近我が『ブラッドストリーム』組織に関連する建物を奇襲する子供が存在する、と聞いたが…。」
楽兎「テメェ!ぶっ殺す!!」
クロ「無駄だ」
クロが腕を二回降ると、楽兎のウェポン『氷王剣』に銀の糸が渦巻く。
クンッ、と引っ張るクロ。
しかし、クロの思ったようにはならなかった。
クロ「ふむ、唯のウェポンではないらしい。切断等たやすいと思ったが、ね。その君の武力『鈴』の無防備さ、そして、レヴェルの低さといい。」
楽兎「引けないなら」
クロ「やってみるがいい。まだ右手の糸があるぞ!」
クロの腕が二回しなる。
リリ「ヴァルキリー・スティン!!」
金髪の女性リリが右手を上にかざすと、神々しい光が辺りに覆われた。 クロ「…ッ」
光は段々消えてゆく―。
そして、楽兎やリリの姿も消えた。
転移移動能力。これも『武』の力である。
クロ「暗殺失敗。ふむ。まあ、今のは仕様が無いではないか。」

―月の館―
楽兎「何でだ!何で武を発動した!リリ!」
リリ「だ、だって…。絶対殺されると思ったからッ!!」
楽兎「何だと…?」
柏木「ぐはははっ!!また首取失敗か。おいおい頑張れよ楽兎!!」
楽兎「柏木…、」
不知火「大丈夫です。楽兎君。麗那さんはまだ落ち着いてます―」 楽兎「あと何ヶ月持つ!?」
不知火「そんな事…僕が知っているとでも!?」
貞弘「楽兎、耳貸せや」
と言い、貞弘は楽兎にこっそりと教える。
余命―2ヶ月。
貞弘「で、よ。こうなったら俺達も力貸すぜ。バールを殺すのは…、無理にしろ、下級A国指名手配位なら楽勝だろ?柏木さんも居る。」
いきなり柏木のテンションが上がったのか、落ち着きが無くなってきた。
定弘「最近隣の5番街で暴れ中の『トレノ一味』。奴らを捕まえようぜ。」
楽兎「…わかった。明日、でいいか?」
定弘「…あと、麗那にはリリが付いていた方がいい。行くのは俺、柏木さん、不知火、お前と…。」
ピーッ
暗証番号が鳴り、ドアが開く。
壬空「何やってんだよ?」
貞弘「壬空さんだ。後戻りは利かねぇ、陣形『クロスランス』。わかったか。」
楽兎「わーったよ。…22時か。俺はもう寝るぜ。」

不知火「楽兎君」
楽兎「あァ!?俺はもう寝んだよ!!」
不知火「君は、まだまだ弱い。そこら辺は知っておいて下さい。」
カチャ…
楽兎「…チッ」

〜こちら5番街〜、〜こちら5番街でございます。〜
楽兎「お前等知ってんのか、トレノのアジトをよ。」
不知火「僕の情報網をなめないで下さい。場所に関しては既に柏木さんと壬空さんに伝えてあります!!遅れを取らないように!!」

柏木「ここだな。見えるか、壬空。」
柏木が言うと、壬空はスコープを取り出す。
壬空「バリバリ見える。暗証番号は…」
カタ、カタカタカタカタ
ヴィィ…ン
見えない扉が姿を現した。
柏木「俺に続け!!」
雑魚A「な、何だ貴様等!!」
壬空「如意刀!!」
蒼い刀が伸び、辺りを一閃する。
ズバババババッ
壬空「ひゃっほう♪気持ちいい〜!!」
どんどん先へ進む楽兎達。が、しかし待ち受ける一人の女が居た。
テルト「トレノの元には行かせないわ。行け!精鋭達よ!!」
壬空「如意刀!!」
雑魚B「そんな伸びるだけのウェポンが我々に通用すると思ったか―」
ズギャギャギャギャ
辺りの精鋭達が途端に見えない『何か』に喰われてゆく―
テルト「な、何?何が起きているの!?」
壬空「蒼龍剣『如意刀』はオトリ。朱雀剣『ドラゴニックオーラ』。見えない龍を捕まえる事ができるかしら?!」
雑魚B「くっ…」
貞弘「…死斑刀。『縄張り』!!」
雑魚B「…何だこの臭いは!!」
雑魚C「ぎゃあああーーーッ!!」
テルト「な…ッ」
不知火「飛針刀…」
柏木「止まったぞ。やれ」
不知火「『刃の雨』!!」
ドガガガガガッ!!
刃の雨がテルトに当たる―。
柏木「全掃。」
楽兎「(チッ、俺は足手まといって事か!)」
不知火「テルト。こいつも指名手配ですね。」
柏木「…次はトレノだ。ゆくぞ!!」
エレベーターに乗り、最上階6階に着く。
柏木が刀を構え、何かをぶつぶつと言い出した。
柏木「『デビルチャクラム』!!」
柏木の目の前に三つの巨大なリングが現れ、次第に高速回転してゆく。
ドヒュッ…
ズギャギャギャギャ!!
そのリングは壁や床を破壊しながら奥へと突き進む進む!
そのリングはやがて一人の男の目の前で回転しながら空中停止する。
トレノ「な、何なんだこれはぁッ!!」
やがて三つのリングがトレノの体の周りに入り、超高速回転してゆく。
柏木「そのチャクラムに触れると、削れるぞ?そういう仕組みになってるんだ。」
トレノが目の前のリングに指を近づけると―
ジャリッ!!
トレノ「ぎ、ぎぃぃやぁああーーーッ!!俺のッ!俺の指がぁーー!!」
柏木「ふん、一つで充分だったかのー?」
不知火「やれやれ、どっちが悪役かわかりませんね。」
柏木「不知火!とくと覚えておけ。このアルトルというドームに『正義』と『悪』等存在せんのだ…!!」
楽兎「こりゃ、昨日やった奴より弱ぇな。」
柏木「ほざけ!俺が強いんだ…。はっはっはっはっはっ!!」

警察「これが、賞金です。トレノ一味は5番街ではとんだ疫病でした。助かりました。」
柏木「ふん、そう思うのならば貴様達警察が動けば良かったのだ。賞金は頂いていくぞ!!」
警察「そ、そうですよね…。そうなんです、よね…。しかし…、すいませんでした。」

楽兎「何ぼだった?」
柏木「これで合計480,000カロだ。手術代にはあと20,000カロ足りんな。」
貞弘「ようは小物をあと一人捕まえればいいって訳ですか。」
不知火「…、ちょっと今日は活躍できませんでしたね、貞弘。」
貞弘「…お前…、こんな奴の為にまた一肌脱ぐつもりか?」
不知火「いけませんか?」
貞弘「チッ」

壬空「フフッ、あいつらいっつもああやって手伝ってくれるんだから!感謝しろよ?我が弟よ♪」
楽兎「そう…だな。」

END
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